東京湾岸には1000万kWの東電の老朽火力発電所がある。 品川火力発電所と大井火力発電所を視察した。二つの発電所は運河を挟んで隣り合わせで存在する。品川火力は1960年につくられたが10年前に新しい型の発電機にリプレイスされた。大井火力は設置から40年を経ている老朽火力である。
写真①②は2001年にリプレイスされた品川火力発電所。川崎天然ガス発電所と同じ天然ガスコンバインドサイクル発電所で、3基で114万kwの発電能力がある。
建屋内には38万kWの発電設備が三系統ある。ひとつの系列を例にとると(写真下)、右側からガスタービン、蒸気タービン、発電機がひとつの軸でつながっている。ガスタービンで発電し、余った熱を使ってさらに蒸気を発生させてさらにタービンを回す。これがコンバインドサイクル、つまり「ハイブリッド型」である。発電効率は、川崎天然ガス発電所の58%に若干劣るが55%。
写真③は大井火力発電所。重油を燃やす発電設備で、35万kWの発電設備が3系統で105万kW。設備が古く、発電効率は40%と低い。CO2排出量も天然ガスコンバインドサイクル発電の1.6倍もある。
以下、視察後のぶらさがり会見の速報メモをそのまま掲載する。
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(ぶらさがり)
日時 平成23年11月15日(火)15:40~15:50頃
場所 大井火力発電所緊急設置電源(12.8万kW)前
「緊急設置電源」とは大井火力の敷地にタイから運ばれたタービンのこと。
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(記者)
新旧二つの発電所を今日ご覧になったわけですが、ご感想をお聞かせ願います。
(猪瀬副知事)
今ここ、大井火力発電所ですが、すぐ対岸が品川火力発電所です。品川火力発電所は10年くらいの前につくり直されたものですが、大井火力発電所は設置から40年くらい経っている。40年経った発電設備をどうするか、という問題があります。いずれ老朽化して使えなくなった時に、都心への電力供給は大丈夫だろうか? という心配があります。
とくにこの品川と大井の火力発電所は、ちょうど高速道路で言えば首都高速みたいな、そういう系統なんですね。都心をぐるっと廻っている電力供給なので、この大井の105万kWをどういうかたちでこれからリプレイスしていったらよいだろうか、と考えています。もしここが、故障するようなことがあった場合には、都心の電力は非常に危ないものになるので、今日はここを見に来たわけです。
(記者)
老朽火力は、大井だけでないと伺いましたが。たまたま今日は大井に来ている。東京湾沿岸には、大井のような40年近く経過した発電所がどれくらいあるのでしょうか、状況をお教えいただけたらと思います。
(猪瀬副知事)
東京湾の千葉から神奈川にかけて、だいたい老朽火力と呼ばれるもの、35年とか40年経っているものが1千万kWあります。ですから、それをどういうふうにこれからリプレイスしていくか、置き換えていくかということですね。東電は原子力の賠償問題で、お金がありません。そうすると投資の余力がないということであれば、だれかが代わってそこにお金をつぎ込まなければならない。その場合には、官と民の連携でファンドをつくって、たくさんの資金を集めるという、新しい発電のかたちというものをつくるほかにないのではないだろうか、ということで一つ説明させていただきたい。
それからもう一つ、説明しておかなければならないのですが、タイから緊急で持ってきた12万8千kWの発電設備(写真④)、これをすぐに備え付けたというのは、それはなかなか技術力があるし、スピード感のあってよかったと思っています。
それから向こうに8万1千kWのGE社製の発電設備。これはフランスで造っていて、インドが買う予定だったものを、なんとかこっちに廻してくれということで、あそこに設置した(写真⑤)。これも新しいものです。
そういうことで、緊急にタイから12万8千kWとフランスからインドへ行く予定だった8万1千
kWをあそこに持ってきた。ということで、いまそういう意味では緊急的に間に合わせるものは、間に合わせているけれども、それはあくまでも緊急の間に合わせであって、恒久的にこれから東京・首都圏に電力を供給するには、この大井発電所のように大きな発電所の発電機を新しいものにしながら、これからの電力供給のありかたを考えていかなければならないということです。
それと、あの、東京電力は、毎年毎年、電気事業法で、政府に対し「電力供給計画」というものを出さなければいけない。独占企業として、電気を安定的に供給するという義務がありますので。その供給計画が現在、提出されていない。ということは、将来の見通しを説明していないということなのでです。今後の設備投資の説明がなければ、じつはいま皆さん電気を使っているから大丈夫だと思っているけれども、非常に危機的な問題が表れるのではないかと不安があります。
きょう、東北電力でまた電力不足になりまして、東電から30万kWを融通してます。そういう状況で東電は荷が重いんですね。東北電力の電力も供給しなければならないのですから、どうやって安定した電力を首都圏に供給するかという課題は決して解決されていないわけです。
だから、これから東京都の100万kWのプロジェクトでは東京湾に5箇所候補地があって、発電所を造ろうと提案しています。それにプラスして東京湾にぐるりとある老朽火力ですね、35年、40年過ぎたもの、1千万kWをどのように置き換えるか、ということが今後の課題です。今日の視察の主旨はそこにあります。
(記者)
そういう意味ではこのあいだ国にも提言しましたファンドなんですが、いつくらいまで
にファンドの仕組みというものは作るんですか?
(猪瀬副知事)
これ本来は国が東電に対してこれからどうするのかと言わなければいけない。その方針の詰めが甘いと思いますよね。ですからそれがはっきりしないといけないのです。ただ国と都の実務者協議会の際に、問題意識は共有しているとは言っていました。つまりファンドをやるのはよろしいのではないかといった、自分たちもそれに協力したいというようなことは言っていました。
(記者)
今日視察されて、東京がいま5箇所のうち1箇所でやるのと、あと老朽火力をリプレイスしていくっていう全体的な計画のなかで、活かせそうな部分っていうのはこの視察のなかで何かありましたか?
(猪瀬副知事)
国が本来ね、そういう提案をしなければいけないところなんですよ。そういう提案をしないので、いまこうやって来て実際に見ながら敢えて提案しているわけですね。国に対して、「あなた方、早くこういう問題をちょっと実感してくださいよ」ということ、今日の意味なんかも、これに含まれていますよね。実際に見て、40年前のもので、もちろん先ほど東京電力の発電所長はね、これメンテナンスをやっていけば使えるんだよと、寿命はまだ10年20年ありますよと言うけれども、車の車検と一緒で、古い車になればなるほど車検の料金高くなるでしょう。だから古くなれば結局、部品の交換などのコストがかかってくる。だからどこかで新規のものに置き換えなくちゃいけないことはたしかなんですね。
皆さんも見て、「ああ、なるほど」って感じはあったでしょう。いや、隣の品川火力の新しいのと大井の古いのと比べるとやっぱり違うわけですから。つまり大井は発電効率が40%以下なわけでしょう。むこうの品川火力は55%とか、発電効率が全然違うわけですよね、ハイブリッド型になりますから。だからこれからハイブリッド型になっていくのは間違いないわけですから。単に古いのが壊れちゃうよっていうんじゃなくて、新しいハイブリッド型にしないと発電効率は高められないよということでもありますよね。両方2つ見て違いが分かったってこともあると思いますね。
〔了〕