六本木ヒルズは4万kwも発電できる。東電なくても無停電の理由。
六本木ヒルズが自家発電をしている。六本木ヒルズに停電はありえない。
そういう評判は何となく耳にしていたが、東京都の今後の電力需給のあり方を考えるために参考になると思い、実際にこの眼でしかと確かめることにした。
六本木ヒルズの人目につかないドアを開けてもらい、地下施設直通のエレベータに乗った。セキュリティーの問題があるので位置情報ついては詳しく書けない。
六本木ヒルズの子会社に六本木エネルギーサービス株式会社があり、11ヘクタールのエリア全体の電気供給施設・熱供給施設を管理しているのだ。この社長はそもそも六本木ヒルズの設計を担当した人で、当初から発電設備を設定していたのである。同じく六本木にあるミッドタウンにはこうした思想はないし、丸の内の三菱村にもない。都庁のある新宿西口一帯の高層ビル街には地下に熱供給システムはあるが発電はない。
発電は都市ガスを燃料としたガスタービンである。蒸気噴射形ガスタービン一基6360kwで6基ある。約4万kwである。写真①にロールスロイス製の文字が見える。このうち供給不足に陥っている東電に発電量の1割、4000kwを売っている。
六本木エネルギーサービス㈱の場合、「特定電気事業者」として規制を受けている。自家発電とはいえ、六本木ヒルズ一帯の地域に対して、「一般電気事業者」である東京電力に代わり供給義務を負っているというタテマエだ。万が一、自家発電能力を需要が上回った場合や、発電機が故障した場合、供給義務が果たせないので、東京電力から電力供給を受ける保証契約しなければいけない。一種の東電保護政策である。東電との保証契約料が高いのでたいへんなのだそうだ。ところが皮肉にも、震災で東電の供給力不足を補うために、先に記したように今回は東電に売電することになった。
発電は都市ガスを燃料としたガスタービンで行い、生じた蒸気・熱を、熱供給事業で活用するから効率がよい。写真②は蒸気ボイラー、僕が小さなガラス窓を覗いているところ。内部は蒸気機関車のボイラーのような炎が見えた。電気と冷暖房が蒸気などの循環シス
テムとして効率よく設計されている。
地震でガスの配管が折れたらどうするのか。通常の自家発電、東電からの供給が共に途絶えた場合に備え、3日の燃料灯油をストックした非常用自家発電機も設置しているが、その心配はないと説明している。都市ガスには低圧の家庭用の管と中圧の鋼管がある。低圧管は鋳鉄や塩化ビニールなどで折れることがあっても中圧管は頑丈な鋼管で阪神・淡路大震災でも折れなかった。今後の開発では、非常用発電の燃料としても、従来の重油や灯油等でなく、中圧の都市ガスを使うものも考えていきたいとのことだ。
ゴールドマンサックスやバークレイズなど外資が六本木ヒルズにオフィスを構えるのは、電気が一瞬でも停まったらおしまいで、この発電システムがあるかぎり安心だから、という理由からだ。当然、電力設備コスト、発電コストはテナント料に反映されているわけで、それでもグローバル企業としてはリスクより安全を求めている。外資を呼び込め、法人税を下げろ、という掛け声だけがあっても、こうした設備への投資がなければ外資は来ない。
現行法は既存の電力会社の保護規制が強い。特定電気事業は、料金を一般電気事業者(東電)以下にする必要があり、採算性は厳しいため事業者が少ない。六本木エネルギーサービス㈱も、電気事業の採算性の低さを、熱供給事業による利益で補っているのが実情である。
現行法では、特定電気事業は、特定地域に対して100%、365日の供給義務を負うが、特定規模電気事業者(PPS)や一般電気事業者からの受電を一部認める規制緩和を求めているが、この規制緩和については、何と震災の当日3月11日の午前に閣議決定されたのだ。だが震災後のドタバタで本来なら4月に政府が国会に法案提出する予定だったが、どうなることやら、という感じである。
六本木ヒルズの電力供給体制は、外資系企業をターゲットとした物件の差別化という意
味でよいモデルだろう。東京のマーケットとしての価値を評価した海外企業が、地震リスク等はあっても、積極的に東京に来るような「真の防災都市」をつくっていくとしたら、特区をつくり六本木ヒルズ型を増やさなければいけない。そのためには、今後、法人税減税、設備投資に対する行政の補助制度や容積率の緩和などインセンティブが必要になるだろう。
外資だけでなく停電のないエリアの構築は、大震災の際に帰宅困難者等を受け入れる「災害拠点ビル」になり得るだろう(3月11日にも帰宅困難者は受け入れたが日比谷線が動きはじめたので滞留せず)。
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コメント
このお話はとても感動しました。
私は北海道札幌に住んでおりますが
息子は福島県郡山で(仙台で被災、自分担当の福島と
仙台市内、そしてかん水した道を通って
石巻に毎日通い
仕事柄酪農家さんの微力ながら支援してました)
熱供給と名のつく関連企業って地方にもあります
先を見据えて腰据えて、これからのリスクマネジメントを企業が日本を考えてやれたらいいと思いした。
投稿: ririy63 | 2011年4月28日 (木) 01時41分
都庁のある新宿西口一帯の高層ビル街の熱供給システムでも発電しています。
新宿パークタワーの1棟は常時これで賄われています。
運営会社は東京ガスグループの株式会社エネルギーアドバンスです。
下記URLに電気供給とありますが、中圧ガスをエネルギーとするガスタービン発電です。
http://www.energy-advance.co.jp/area/index.html
投稿: sonny | 2011年8月 9日 (火) 20時13分